地域密着型介護サービス施設「上村座(かんむらざ)」
福岡県久留米市
カテゴリ|非住宅建築物
今回ご紹介する施工事例は、福岡県久留米市の郊外に、今年4月にオープンした複合型サービス施設「上村座(かんむらざ)」。
《正面入口》外壁:スーパー白洲そとん壁W W-121 かきおとし仕上げ
歌舞伎座みたいで劇場のような名前ですが、この上村座は、医療的ケアを必要とする高齢者を対象に、「通い」「泊まり」「訪問看護・介護」を組み合わせたサービスを行う、新しい地域密着型の介護保険サービス施設です。
《食堂》内壁:ビオセラ BC-53ソフトヘアライン仕上げ
約850㎡の敷地に、木造平屋建ての建物は総床面積約236㎡。宿泊室、食堂、地域交流室、日本庭園、庭園を眺められるひのき風呂などが整備されています。
梁などは旧家のものを残し、内壁にはシラス内装材の「ビオセラ」、外壁には「スーパー白洲そとん壁W」が施工されています。
この施設を運営するNPO法人「たんがく」では、既に運営中のホームホスピス「たんがくの家」にもシラス壁を採用いただいており、こちらは2棟目の施設となります。
「たんがく」の樋口千恵子理事長は、3回も弊社九州工場の見学にお越しになり、地元九州の土であるシラスの特性と高千穂シラスのこだわりを十分にご理解されたうえで採用を決定していただきました。
この施設を「上村座」と名づけたのは、昭和26年に久留米市になるまでこの地が「上津荒木村字上村」と呼ばれており、地元のお年寄りたちで作る「美婆会」がミュージカルなどの発表の場で「上村座」の看板をあげていたことから。「上村の人たちが楽しく集う所」との意味が込められているそうです。
《宿泊用の個室》 ビオセラ BC-57 ソフトヘアライン仕上げ
ここには看護師と介護士が常駐し医療的なケアを受けることができるため、酸素吸入や注射による投薬など、定期的な医療処置を必要とする方にもデイサービスが利用できるところが画期的です。こういった施設は全国的にもまだ珍しく、九州では第一号なんだとか。
利用者は普段それぞれのご自宅で生活し、日帰りで通ったり、短期で宿泊したりして地域の皆さんと交流します。
病気になったりして介護生活になるとなかなかデイサービスに通えず、それまでの交友関係が絶たれてしまうことも少なくないそうですが、上村座の場合は、高齢者の皆さんがなじみの地域でなじみの皆さんに囲まれて生きることを支える体制が整っています。
最初に「歌舞伎座みたい」と書きましたが、宿泊用個室の名称には「成田屋」「成駒屋」「中村屋」など、歌舞伎の屋号が使われています。
《スタッフ事務室》 内壁:ビオセラ BC-53 ソフトヘアライン仕上げ
看護師12名、介護士7名が在籍しており、ヘルパーや往診の医師らとともに24時間体制でケアにあたります。
事務室をはじめスタッフが使用するエリアにもシラス壁が使われており、どこにいても気持ちのいい空気が感じられます。
こちらは玄関ヨコにある売店。
地元農家でつくった野菜やお菓子、アイスクリームなどが販売されており、近隣にお住まいの方々が気軽に立ち寄ることができるスペースとなっています。
取材に伺った日、建物の外で樋口理事長と話をしていると、通りがかりの自転車に乗った高校生が「こんにちは」とあいさつしていきました。
樋口理事長によれば、高校生など地元の若い人たちにも、売店に立ち寄ってもらうことをきっかけにボランティア活動への参加を促したり、お年寄りとの交流をさらに深めていきたいとのことです。
「上村座」は、お年寄りやそのご家族だけでなく、地域の人々のための施設でもあるんですね。
複合型サービス上村座(かんむらざ)
〒830-0055
福岡県久留米市上津1-23-10
電話 0942-65-9860
「上村座」を運営するNPO法人たんがくのホームページはこちら