施工事例

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環境省エコハウスモデル事業 北九州エコハウス ~「見て」「感じて」「学べる」~

北九州市

光化学スモッグ、洞海湾の汚染、気管支喘息患者の多発。かつては、日本初の近代的製鉄所の操業により発生した深刻な公害問題と戦ってきた北九州市。
市民・企業・行政が一体となり公害対策に取り組んだ結果、環境は大きく改善されました。2008年には国から環境モデル都市として選定され、いまや日本をリードしています。
現在、北九州市は、低炭素社会の構築を目指し様々な事業に取り組んでいます。ストック型都市への転換を進め、家庭での省エネ型のライフスタイルを提案するために、<環境省エコハウスモデル事業>21世紀環境型モデル住宅「北九州エコハウス」が誕生しました。
このエコハウスの内外装材にシラス壁(内装:薩摩中霧島壁 外装:スーパー白洲そとん壁W)が採用されています。

シンプルな外観デザイン。部屋の中への日光のさし方を考慮し、夏はすだれやひさしで日光をさえぎって涼しくします。冬は日光を取り入れて、部屋を暖かくします。
スーパー白洲そとん壁W W-128 かき落とし仕上げ

北九州エコハウスは、市民のための環境学習・交流総合拠点施設「北九州市環境ミュージアム」の敷地内にあります。
高耐久のシンプルな構造体で、ライフスタイル、ライフステージ等の変化により間取りや用途が容易に変更できるような工夫、風の道等による温熱環境の向上、そして数々のエコマテリアルを活用しています。

このエコハウスにおいてシラス壁が果たす役割として、シラス壁の調湿機能に期待が寄せられています。シラス内装材「薩摩中霧島壁」の調湿効果により、夏場の体感温度が抑えられ、エアコンを使う日を限りなく少なくし、設定温度も低く、省エネに繋がります。また、100%自然素材で化学物質を含まない壁材のため、健康配慮の一役を担っています。
シラス外装材「スーパー白洲そとん壁W」については、優れた断熱性、内外結露や湿気から建物を守る調湿性が評価され、さらには自然素材の良さもエコハウスのコンセプトと一致して採用にいたりました。

オープンなLDK。ゆったりとした空間の家族団らんの間。窓の開け方を工夫すると風通しがよくなり、涼しくなります。熱が伝わりにくい窓ガラスやシラス壁を使い、冷暖房エネルギーを節約しています。
薩摩中霧島壁 SN-4 ソフトヘアライン仕上げ

左:温熱の調整空間として古くから活用されてきた土間的空間  
右:階段部分も風の通り道となる

●北九州エコハウスのコンセプト
(1)環境共生に関する普遍性の高いデザインの採用
自然風の享受(風の道)、太陽光・熱など自然エネルギーの活用、断熱性の確保など環境基本性能を重視した設計
柱勝ち工法の架構で金物工法との併用による堅牢で自由な空間づくり
(2)古くからある技術と新しい技術・製品の融合活用
土間の玄関・エコ縁側・すだれ・塗り壁など古くからある技術・素材を採用
北九州市が認定したエコプレミアム製品など新しい技術・製品を採用
(3)環境ミュージアムとの連携
エコハウスの普及はもとより、「エコライフスタイルと住まい方」まで幅広い提案。
展示解説員によるきめ細やかな情報発信・体験の場を提供。

●北九州エコハウスの3つの特徴
1.環境基本性能の確保
住まいの基本性能を確保することで、住まいに必要なエネルギーを最小限に抑えることができ、かつ快適な住宅です。
2.自然・再生可能エネルギー活用
環境基本性能を確保した上で、自然エネルギーを最大限利用し、なるべく化石燃料に頼らない住宅です。北九州にあった太陽光、太陽熱、風、地中熱、水、温度差を上手に活かす工夫をしています。
3.エコライフスタイルと住まい方
水や緑を活かした暮らし方、ライフステージに応じた住み方の工夫など、快適に暮らすための工夫です

※エコハウス内では各種データの計測やパネル展示等が行われている
左上:風の道。ひもを引くと下階からの涼しい風が抜ける  
中上:エコハウスに用いられているシステム類のモニター  
右上:エコハウス内に設置されたパネル。しくみを分かりやすく説明している
左下:太陽の熱で部屋全体を温めるシステム  
右下:壁内温湿度センサー


北九州市では、家庭部門からのCO2排出量削減のため、エコハウスの普及を目指しています。この北九州エコハウスから排出されるCO2は、一般住宅に比べ年間約3,700kg、約60%削減できる見込みです。これは、杉の木1年間のCO2吸収量に換算すると265本分に相当します。
今後北九州エコハウスは、環境教育学習の場のみならず、地元建築関係者の知識や技術を高める場として、また大学や研究機関の実証研究の場としても活用される予定です。

世界の環境首都を目指す北九州市が発信する、北九州エコハウス。
多くの方が「見て」「感じて」「学べる」場となることでしょう。

左:2Fアトリエ展示スペース。真っ直ぐに視線が通る心地よい空間。テラスの緑化によりエコハウスの断熱性が向上 
右:2F子供部屋。2部屋に分けられるライフステージに応じたフレキシブルな間取り。


<見て 感じて 学べる> 2010/2/16シラス壁勉強会
北九州市左官業協同組合の方を対象に、北九州エコハウスの内外壁に使用しているシラス壁勉強会が開催され、実際の施工前に特性や施工方法について、施工実演を見ながら学びました。

シラス壁勉強会の様子(左:シラス壁の特性説明 右:シラス壁施工実演)

北九州エコハウス
〒805-0071 福岡県北九州市八幡東区東田2丁目2-6
北九州市環境ミュージアム内
TEL:093-663-6751
利用時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
閉館日:毎週月曜日・年末・年始
観覧料金:無料
※ ただし、環境ミュージアム展示室観覧の場合は、別途料金が必要です
URL http://eco-museum.com/

〔お問い合わせ〕
北九州市環境局環境学習課
〒803-8501 福岡県北九州市小倉北区城内1-1
TEL: 093-582-2784

設計・監理 株式会社 醇建築まちづくり研究所
〒810-0004 福岡市中央区渡辺通2-8-12
TEL:092-737-3950
URL http://www.jun-machi.com/