採用事例詳細 木のぬくもりがやさしい陽だまりのような場所〜児童祉施設「希望の家」~

採用事例紹介

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木のぬくもりがやさしい陽だまりのような場所〜児童祉施設「希望の家」~(広島県呉市)

薩摩中霧島壁 スーパー白洲そとん壁W

瀬戸内の穏やかな海に面し、自然豊かで温暖な呉市の山の手。ゆったりとした時間が流れるこの地域に、木のぬくもりが感じられ、自然とやさしい気持ちになれるような建物が誕生しました。

一人ひとりを大切に、一人ひとりの願いを実現するための児童福祉施設「希望の家」(社会福祉法人きぼう 様)は、今年3月に竣工されました。


写真1)「希望の家」の全体写真。オレンジ色のグラデーションが美しい屋根に、2階部分にご採用いただいたシラス外装材「スーパー白洲そとん壁W」(以下、そとん壁W)がマッチしています。(カラー:W-121,仕上げパターン:スチロゴテ仕上げ)

設計を手掛けられたのは、呉市を拠点にご活躍のアイシン設計事務所 飯崎氏。これまでも、多くの福祉施設や公共施設の設計に携われてこられました。
「みんなが自然と集まってくる陽だまりのような施設になることを願って設計しました。」とのこと。


写真2)玄関部分には、児童の作品を展示するスペースが設けてあります。季節感を演出することもできるのではと笑みをこぼされる飯崎氏。

玄関上部の軒や正面からみた屋根の一部などに、緩やかなカーブが配されています。機能面の追究だけではなく、視覚や触感、聴覚といった五感に語りかけるような設計は、自然と人に安堵感をもたらしています。


写真2)軒下にも「そとん壁W」をご施工いただきました。「軒下は施工が難しいですから、職人泣かせの設計です。しかしこのシラス壁の美しさを見たら、職人も納得してくれました。」とつくり手も唸る仕上がりとなりました。

シラス壁との出会いは、設計士 伊礼智氏の書籍だった飯崎氏。「もともとサイディングを使うのはあまり好きではなかった。画一的で味気ないというか。しっとりとした塗り壁のぬくもりも好きだっだんです。いつかご縁があれば使ってみたいと思っていました。」
広島でシラス壁技術研修会が開催されることを知り、ご参加いただいたことがご縁となりました。


写真3)ガラスブロックが印象的なサロン。自然光だけでこの明るさ。プロ使用の厨房も併設されています。こちらにはシラス内装材「薩摩中霧島壁」(カラー:SN-4)を全面にご施工いただきました。

当初、シラス壁の施工方法について不安があった飯崎氏でしたが、シラス壁技術研修会で理解を深めることができたとのこと。また会場で研究熱心な左官職人の方にも知り合うことができ、その姿勢に心打たれたのだそう。「昔ながらの技能を受け継いでいくことも大切です。しかし、新しい素材に挑戦したり、研修会や勉強会で技術を習得する姿勢がやはり必要だと思う。最終的にはそういうところが仕事に結びつくことになる。」と飯崎氏。その後、研修を受けられた職人に施工を依頼されました。


写真4)広々としたホールは、無垢ナラのフローリングが敷かれています。天井にはフックが取り付けられていて、ブランコなどの遊具を吊ることが可能。また仕切り壁が収納されており、必要に応じて空間を区切って使うことができます。


写真5)1階トイレにも、全面にシラス壁「薩摩中霧島壁」を施工いただきました。消臭効果で気になるニオイも残りません。

表面だけの簡素な作りでは、傷は見た目に悪く飽きにつながっていく、しかし、本物を使えば傷は味わいとなり美しさになると、今回の施工では無垢材をふんだんに使われたそうです。新築なのに、どこか懐かしさや安堵感さえも感じられるのは、人にやさしい本物の素材を使うことにこだわられたから。


写真6)左:2階は、木造校舎を思わせるような廊下が延びる。右:床は、無垢サクラ(奥)と、無垢チーク(手前)。また壁には北海道まで足を運んで厳選されたというカラマツ材が使われています。

シラス壁の施工時期が冬季であったため、思うように“塗り”に踏み切れない時期もあり、ご苦労をされて完成されたとのこと。しかし、そういう苦労がなければ、本物は生まれないのでないかと飯崎氏は語られます。「苦労したほど愛着がわく、末長く経年変化をみていく楽しみもできる。職人と知恵を出し合って、お客様にもご理解いただいて出来上がったものです。」


写真7)2階作業室。大きな梁は、素材感を出すためにあえて無骨なものを選ばれました。素朴なシラス壁の質感も活かされています。入所者だけでなく、ご家族や地域の人も集うことのできる明るく解放的な空間です。

“一つくり手”として飯崎氏は、「よいものになるほど手間がかかり、時間がかかります。でも、お客様に喜んでもらっている実績があるから、材料にも自信が生まれる。職人も納得して技術を磨くようになる。その積み重ねが大事なんじゃないかなと思います。」とお考えです。

スピードが重視され、より安価で扱いやすい建材を採用することで工期は短縮されるようになりました。しかし、それは結果的に満足が得られなかったり、身体に負担がかかってしまったり、求めるものからかけ離れてしまうことがあります。

一生付き合っていきたいと思うことができる建築、本当に愛される建築は、よいものをつくり出そうとするつくり手の熱意が生み出すものだということを、今回の取材で改めて感じました。
「希望の家」もこれからたくさんの方に愛されて、長く陽だまりのような存在になっていかれることでしょう。